能登印刷株式会社 さま

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代表取締役社長 能登健太朗氏

印刷前日に8人で行っていた紙積みを今では「ミューパイルジョガー」で1人で行っています。
フィーダーストップは手積みの時に比べ1/3になりました。

能登印刷は2016年末、印刷機5台の印刷前の紙積み作業を、それぞれの機付き人員から解放した。静電気除去方式の「用紙最適化装置」を搭載した反転高積紙揃機「ミューパイルジョガー」を導入し、パート職員1人に担当させる改善を行った。紙積み作業は従来、機付き人員がそれぞれ、翌日の予定分を残業時間帯に手積みで行っていたが、同機導入後は、パート職員が日中、基本的にそのすべてを担う態勢となった。これにより、機付き人員の残業削減と負荷軽減が図られた。また、静電気が除去された紙が印刷機を通ることから、フィーダーストップをほぼ皆無とする効果がもたらされた。同社は、高品質の商業印刷や自社メディアによる出版、インターネット技術などを高度に融合させて顧客の情報発信を支援する業態を推進している。その中で、印刷を最重要メディアと位置付けており、生産性向上に取り組み続けている。同機は今やその「屋台骨として欠かせない存在」(能登社長)と なっている。

■ フィーダーストップは約2万8,000枚に1回 
■ 「ミューパイルジョガーは効率化の屋台骨に」

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 静電気除去効果のあるエアーをパイルにブローする機能を持つのが「用紙最適化装置」。それを搭載した紙積み機「ミューパイルジョガー」導入直後の16年12月、同社はその効果を検証しようと、3カ月間にわたり、フィーダーストップの発生頻度を調べた。日々の全ジョブの中で、「手積み」「スキットのまま挿入」「用紙最適化装置搭載ミューパイルジョガー」の3つの方法で積んだ紙の枚数をそれぞれ集計するとともに、フィーダーストップの発生回数を記録した。
 その中で、菊全4/4色両面専用機でのフィーダーストップ発生頻度は、手積みの場合は8,829枚に1回、スキットのまま積み替えずに挿入した場合は3,059枚に1回、ミューパイルジョガーで積んだ場合は2万7,749枚に1回という結果となった。  ミューパイルジョガーで積んだ紙のフィーダーストップの発生頻度は、手積みの3分の1以下、スキットに対しては実に9分の1程度となっていることが分かった。
 同社はこの結果を踏まえ「印刷現場の生産性は確実に上がる」とみて、保有する印刷機5台すべての翌日分の紙積みをミューパイルジョガーで処理することとし、日中勤務のパートタイム従業員1人に担当させることにした。機長をはじめとする機付き人員は紙積み作業から解放されたことになる。
 この態勢となってから1年半ほどが経ち、18年5月現在、パート従業員もすっかり仕事に慣れ、印刷工程に目配りできるようになっている。仕事のメインは、従来、機付き人員が残業時間中に行っていた、翌日分の紙積みだが、ユポや薄手のコート紙など、静電気を帯びやすく、用紙最適化装置の除電効果を最大限活かしたい原反の仕事がある場合には、印刷現場と連携しつつ、印刷直前に紙積みする対応もしばしばだ。ミューパイルジョガーで除電エアーが紙と紙の間に適切に入り、きれいに揃ったパイルがタイミングよく印刷現場に供給される態勢が出来上がっている。能登社長は「予想通り生産性が上がっている」と語る。
FREEHTML5.co Free HTML5 Bootstrap template  同社は、高品質の商業印刷などの印刷の受注のほか、グループの出版社を含めた出版事業、また、デジタルソリューションサービスにそれぞれ強みを持つとともに、これらを融合した新しい形の情報発信を可能とするのが特長となっている。能登社長は「コンテンツプラットホーム、あるいはコンテンツメーカーとして、紙とデジタルを融合させて顧客の情報発信をサポートしたい」と現在の自社の在り方を説明する。
 そして、「顧客が情報発信する上で一番の支えとなり、必須となっているのは印刷。そこをものづくりとしてしっかりと強化しておかないと当社としての成長もないだろう」と印刷を事業のベースとして位置付けている。
 同社は長年にわたり、いわゆる5S活動に取り組んでおり、15年からはそれを同社流に発展させた「3SAM活動」を展開している。「整理・整頓・清掃」の3Sに「あいさつ」と「メンテナンス」を加えたものだ。
FREEHTML5.co Free HTML5 Bootstrap template  事務系・クリエイティブ系の職場も、現場も、不要な物は捨て、机の中の鉛筆1本、工具1本の置き場を明確にするなど、無駄のない効率的な職場づくりを推進してきた。印刷現場の床には白線が引かれ、パレットや仕掛品、資材類などが決められた場所に整然と置かれている。人やハンドリフトの通路も明確化されている上、矢印で進行方向が示されている。DTP環境からデジタル出力による校正、オフセット印刷に至るカラーマネジメント態勢もその一環で、同社のカラー印刷の標準は230線だ。 「印刷の仕事は基本的に一品生産・受注生産となるため、スムーズに進行できないことが多く、残業が多くなりがちな面がある。生産性悪化につながる無駄をどんどん減らす活動を展開し、残業ゼロで皆が働きやすい職場をつくっていくことが経営の永遠の課題だと思っている」
 ミューパイルジョガーの導入は、印刷現場でのその大きな施策となっている。「オペレーターには日々、品質に対する大きなプレッシャーが掛かっているし、残業での紙積みには体力面からも負担が掛かる。ものづくりの中で、なるべく人の手を介さずに生産性を高めるために、屋台骨となる機械だと思う」。

■ 機付き人員は本来の仕事に専念 ■ 機長を目指すスキルアップに注力できるように

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 導入前、機付き人員は、ワンプをむきながら、紙積み定規に、完全手作業で紙を積んでいたという。紙積み作業を現場から切り離したことは、経営面にさらなるメリットをもたらしている。取締役生産統括部長兼製造部長の堀北貴之氏は「紙積み作業をパート従業員が行うようになり、機付き人員は、本来の仕事に専念できるようになった。機長を目指す技能習得やスキルアップといった教育に力を注げるようになった」と効果を指摘する。
 さらに、ミューパイルジョガーの稼働については「誰が積んでも同じ品質で積め、また、長時間作業しても疲労感が少ないということは、大きなメリットとなる。肉体的な制約があまりなく、年配の方や女性にでも活躍してもらえるのではないかと思っている」と期待している。
 また、生産工程を統括する立場から、同機上で印刷前のパイルから静電気が除去される効果について「印刷機で紙がうまく通らない原因は複合的だが、用紙最適化装置からのエアーがブローされた紙を通すようになり、データ的にフィーダーストップが減少している。静電気は目に見えないが、静電気が原因だったのだなと稼働させながら気付かされている」と語っている。

■ 機付き8人の紙積み残業はほぼゼロに ■ 使用原反により紙積みのタイミングも調整も

  同社が保有する印刷機はいずれも菊全判で、4/4色両面専用機1台、4色機1台、高感度タイプのUV4色機1台、2色反転機2台となっている。
 印刷現場のリーダー・石尾俊製造部印刷課課長によると、ミューパイルジョガー導入前の繁忙期の残業による紙積みは、印刷の効率を現場全体で向上させようとする団結力のなせる業だった。「5台の機付き人員と複数台を担当する補助員の計8人ほど皆で、1日の仕事の終了後、毎日少なくとも1時間は翌日分を手積みしていた。疲労感が伴ったが、前日に積んでおけば、印刷を早くスタートできると考え、協力し合っていた」。  導入の効果はやはり、現場が強く実感している。
 「専任者を1人付けた形にはなったが、紙積みでの8人の残業はほぼゼロになった。また、印刷機5台分の紙が朝、すでに用意されている状態となっているのは数字に表せない効果だと思う」
FREEHTML5.co Free HTML5 Bootstrap template  同社はこれまでの「3SAM」の取り組みの中で、静電気対策にも力を入れてきた。温湿度を一定に保つ空調管理や、印刷機自体に除電ファンを装着するなど、さまざまな効率化対策を進めていた。ただ、石尾課長はミューパイルジョガー導入前は「どんなに工場内の環境を良くし、紙への風入れを念入りに施しても、静電気は取れない」感じがあったという。「2枚差しや曲がりはどうしてもなくならなかった」。それが現在では「除電ファンなどの機器を動かさなくてもトラブルはほぼ発生していない。非常にありがたい」と実感しているという。
 静電気対策としては、最近では同機を使用するタイミングを調整しているという。同社はUV機も持つことから、寄せられる紙も多種多様となっている。「上質系や一般のコート紙では静電気による影響がほぼなくなったが、ユポや薄いコート紙などでは前日に積み置きしておくと再び帯電してしまい、フィーダーストップにつながってしまうこともあった。導入後の経験により、印刷直前にミューパイルジョガーで積む紙もある。そうすることで、薄いコート紙もユポもスムーズに通るようになっている」。
 能登社長は現在、同機を営業戦略上の武器ともとらえている。「不良品発生対策としてパイルの静電気除去を行っているということは、顧客へのPRにもなるだろう。しっかりとしたものづくりをしているという点を強調できるのではないか」と語っている。